歯周病セルフケア
歯周病で最も大切なことは、「歯周病にならないために予防をする」ことです。歯周病は、中高年の病気ではなく、若い頃からの予防が大切です。日本臨床歯周病学会の歯周病認定医が、歯磨き粉・歯間ブラシ・フロス・歯磨きの仕方・治し方など、家庭でできる予防・セルフケアをご紹介します。是非、お役立て下さい。
歯周病の年齢
成人の80%以上が歯周病と言われています。 年齢でみると、歯ぐきに炎症がみられる人のピークは55~64歳。平成23年度の歯周病失態調査によると
・5~14歳:33.4%
・15~24歳:70.3%
歯ぐきに炎症がみられています。歯周病は中高年の病気ではなく、若い頃から予防することが大切だと物語っています。
参考サイト:((財)8020推進財団WEBサイト)
歯周病とメタボリックシンドローム!?
実は、肥満というだけで歯周病の危険率は、なんと1.5 倍と言われています。メタボリックシンドロームの項目別でも危険率は高くなり、歯周病との関係が深いことが示されています。生活習慣病は、かつては成人病と呼ばれていました。
しかし、若い頃からの食事や運動、 喫煙、飲酒、ストレスなどの日頃の生活習慣が深く関与して発症するため、現在は成人に限らず、子どもや学生でも発症する可能性のある病気と考えられています。 メタボリックシンドロームは生活習慣病の集合体ですが、歯周病も生活習慣病の一つで、 お互いに悪い方向に相乗効果があるようです。
歯周ポケットを持つ人は、健康でも数年後にメタボリックシンドロームを発症するリスクが高いと言われています。つまり、歯周病予防がメタボリックシンドローム発症の予防につながる可能性があるこということです。
歯周病の末期症状
- 歯肉が、赤紫色。
- 歯と接している歯肉が、更に腫れる。
- 歯ブラシの際、出血や膿がでる。
- 歯周ポケットが深くなり、骨(歯槽骨)が溶ける。
歯周病は、進行するにしたがい歯を支える骨が溶けてしまいます。一度溶けてしまった骨は、基本的に元に戻ることはありません。大切な歯を守るためには、歯周病予防を行い、常に早い段階で治療を行うことが大切です。
歯周病の進行の詳しくはこちら >>
歯周病の治し方
現在は、歯周病は予防でき治療も可能です。
歯周病治療の流れはこちら >>
原因である歯垢の除去および歯石の除去、歯の根の面の滑択化、 ぐらぐらする歯の咬み合わせの調整などを行います。 歯周病の進行度合いにかかわらず、初めに行う治療が歯周基本治療です。
基本治療で一部ポケットの深さが改善されない場合、外科的にポケットの深さを減少させる手術があります。
※部分的に失われた骨を再生する手術(再生療法)はありますが、全ての症例で、十分な結果を期待ことは困難です。繰り返しになりますが、歯周病で最も大切なことは「歯周病にならないために予防をする」ことです。
歯周病の原因は歯垢(プラーク)です。プラークがたまらないようにすることが基本です。そのためにはまず、正しい歯磨きの方法を知ることが大切です。しかし、正しく磨いているつもりでも苦手な部分や自分では磨きにくい部分があったり、各個人の歯ぐきの状態によって、微妙に磨き方が異なっていたりします。
定期的に歯医者さんに行って、正しく歯ブラシができているかチェックしたり、磨きにくい部分の専門的な口腔内の清掃、そして口の中の良い環境をつくるために歯石除去を行うと良いでしょう。
歯周病ケア・ケア用品
家庭でのセルフケアの代表は、歯ブラシによるブラッシングです。大事なのは、どの歯磨剤を使うかではなく、いかに磨き残しを少なくブラッシングでプラークを除去できるかどうかということになります。1日2回以上みがいている方もいますが、磨き残しが多いです。歯みがき剤を使用して、歯垢のたまりやすい所を丁寧に磨きましょう。
※歯垢のたまりやすい所、虫歯になりやすい歯など、歯科検診の際、歯科医院で指導しています。
正しい歯磨きの仕方はこちら >>
歯ブラシは古くなると機能が弱まります。同じ時間みがいても、歯垢をしっかり落とせなくなりますので、歯ブラシの定期的な交換が必要です。交換時期は、磨き方や磨く回数によりさまざまですが1ヶ月程が目安です。自分に合った歯ブラシを見つける事も大切です。
・フロスは糸の一種。両手の指先に巻き、歯と歯の間をゆっくり前後させて使用します。
・歯間ブラシは、歯と歯の間の広い方や、部分入れ歯やブリッジをされている方に最適です。
歯肉のマッサージ効果もあります。
歯医者での歯科検診
現在、日本の80歳の方に残存している歯の本数は、平均12 本です。それに対し、スウェーデンでは平均20本、アメリカでは17本です。この違いは、どこにあるかご存知でしょうか?欧米諸国と日本では、歯科定期検診の受診率に大きな差があります。予防歯科が進んでいる歯科定期検診の受診率は全国民の80%以上です。また、他の欧米諸国でも70%ほどの受診率を保っています。しかし日本の受診率は、10%未満なのです。
歯医者での歯科検診では、お口の中の検査はもちろん、歯磨きの指導・歯のクリーニング・生活習慣の指導などを行っております。
・デンタルフロスの使い方や、歯磨き剤の選び方もご紹介しています。
・毎日の歯磨きでの磨き残しを、歯のクリーニングで取り除きます。
ご自身では、きれいに歯を磨けているつもりでも、細かい部分や磨きにくい部分に意外と歯垢は残り、やがて硬い歯石となりブラッシングでは除去できなくなります。歯石には細菌が含まれていますから、歯周病を引き起こす原因となります。定期的に歯医者さんでメインテナンスを行えば、そのような磨き残しのチェックや、歯ブラシの届かない歯周ポケットの中から細菌を除去することができます。
当院では、虫歯・歯周病予防のため、ご家庭で日頃から注意することなどを、お一人おひとりに合わせてお話しています。歯が悪くなってから慌てるのではなく、お時間ある時・気になることがある時など、お気軽に歯医者へお立寄り下さい。
横浜市の歯科健診
当院では横浜市の下記の健診を行っております。
歯周疾患の予防と早期発見を推進し、いつまでも自分の歯でおいしく食事ができるように支援することを目的にした検診です。
【対象者】横浜市内在住で、検診受診時に40歳、50歳、60歳、70歳の方
【実施期間】年1回(対象年齢にある期間)
【費用】500円(70歳の方は無料)
詳細はこちら(横浜市歯科医師会WEBページ)
受診をご希望の方は、まずは当院へ電話ください。お電話でご予約を受付けています。ご来院の際は、健康保険証をご持参ください。
お母さんのお口の健康状態が、生まれてくる赤ちゃんに影響します。 赤ちゃんの健康はお母さんのお口の健康から! できるだけ妊娠12週~27週頃に歯科健診を受けましょう。
【受診回数】妊娠期間中に1回
【費用】無料
詳細はこちら(横浜市WEBページ)
当院の歯周病治療・予防は、日本臨床歯周病学会の認定医・認定歯科衛生士が行います。お口・歯のお困り事は、お気軽にご相談下さい。
歯周病と妊娠
一般に妊娠すると歯肉炎にかかりやすくなるといわれています。これは女性ホルモンが大きく関わってくるといわれており、特にエストロゲンという女性ホルモンがある種の歯周病原細菌の増殖を促すこと、また歯肉を形作る細胞がエストロゲンの標的となることが知られています。
そのほか、プロゲステロンというホルモンは炎症の元であるプロスタグランジンを刺激します。これらのホルモンは妊娠終期には月経時の10~30倍になるといわれており、妊娠中期から後期にかけて妊娠性歯肉炎が起こりやすくなるのです。しかし、基本的にはプラークが残存しない清潔な口の中では起こらないか、起こっても軽度ですみます。妊娠中は特に気をつけてプラークコントロールを行いましょう。
女性が歯周病にかかっている場合、低体重児および早産のリスクが高くなることが指摘されております。そのリスクは7倍といわれ、たばこやアルコール、高齢出産などよりもはるかに高い数字です。歯周病は予防が十分可能な疾患です!生まれてくる元気な赤ちゃんのために、確実な歯周病予防を行いましょう。
お口の中には女性ホルモンを大好きな細菌がいて、女性ホルモンの分泌量が増えるとその細菌も増殖します。そのため男性より女性の方が歯周病になりやすいといわれています。また女性は唾液が少ない人が多く、口の中が酸性に傾くのを防ぐ働きが男性よりも弱いため、口の中の環境が悪化しやすいといわれています。
女性ホルモンは、歯茎と歯の間から少しずつ染み出しています。月経の前がいちばんホルモンの変動を受けやすく、歯肉がむずむずしたり、腫れたりとの経験を持つ人もいらっしゃるのではないでしょうか。これは女性ホルモンの増加に伴って毛細血管が影響されることと、炎症反応が過度になるからです。
上記で説明した通り、男性より女性の方が歯周病になりやすいと言われています。
・妊娠中は、妊娠性歯肉炎や妊娠性エプーリスなど歯茎が敏感で腫れやすくなります。
・産後は、育児に手がかかり自分の歯磨きをおろそかにしがちで、出産を期に歯周病になってしまう方も多いので要注意です!
・更年期を迎えると、骨密度が低くなり、骨粗しょう症になりやすくなるのはよく知られていますが、歯を支えている顎の骨も弱くなります。歯茎がやせてしまうことや、口が渇きやすくなったりすることも、歯周病の原因となります。
妊娠前には、虫歯や歯周病の治療をすませ、歯と歯肉・舌の上などを清潔に保ちましょう。そして定期的に歯科検診を利用して、生涯お口を健康に保ちお過ごしください。